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建築雑感@ァ閑話 - 廣田 清隆 (廣田建築・都市設計工房)(2006年09月13日 更新)

はじめに

KPICの会員のみなさんはじめまして廣田と申します。1956年本渡市生まれです。
大学卒業後、市内の設計事務所に11年勤めた後独立、今年で13年目になります。 構造計算の仕事も時々はしますが、もともと意匠設計なので、 構造一筋の皆さんの前に出るとどうも後ろめたい気がしてしまいます。 ということで、例会にもつい足が遠のき、設立からの会員なのに“はじめまして”ということになりました。 こんな私に“ささやく”資格があるのかどうか分りませんが、 何でもいいですよ、という言葉に甘えて、最近思ったことなど述べたいと思います。

仕事

最近、新聞やTV で私や私の設計したものが紹介され、 そのせいかどうか分りませんが、住宅の設計依頼が増えています。 私の親父は昔大工で、小さい頃から木の匂いのする現場が遊び場でした。 中学から高校までは、大工や左官の手元として休みの日はアルバイトしていました。 そんな訳で、いつかは自分で家を設計したいと思うようになっていました。
私にとっては、願ってもない展開なのですが、多少戸惑うこともあります。
それは、施主が設計者に抱いている幻想なのかもしれません。 私は設計は施主との共同作業だと思っています。 施主の中には、何も言わなくても夢のマイホームがポンと出来ると思っているひとが少なくありません。 また逆に、「私の言う通り設計して頂戴」と言って、こちらの提案を一切受け入れない施主もいます。
石山修武は、“建築や住宅はその持ち主の品格を表現するモノに過ぎない。 もし万が一建築家に品格があったとしても、それは依頼主の器をあくまでも補助するものに過ぎない”と 著書「設計ノート」の中で述べていますが、その通りだナァと最近思います。 私の作品だなんてオコガマシクテ言えません。

基準法改正

この前、建築士会山鹿支部から電話があって 「シックハウスの講習会をします。ついては講師をお願いします」とのこと。 頼まれれば断れない困った性格で一応引き受けたのですが、 どういう法律が出来たのかよく知りません。 そこで、テキストや資料を取り寄せ勉強しました。 そして分ったことは、実に大雑把な法律だということです。 全国津々浦々、北海道から沖縄まですべての建築物の居室には換気設備を付けろというのです。 しかも年中24時間休みなし、スイッチを切ってはならぬというのです。 増築した場合、既設の部分にも適用されます。ナンダコレハと思いました。 講習会では、建築主事が1時間法律の説明をして、私が1時間実務の説明をしました。 質疑では案の定、厳しい質問が相次ぎました。
「高気密高断熱の省エネ住宅を推進しておいて矛盾しているのではないか」 「いま手持ちの建材は使えないということか」「たまにしか使わない別荘にも24時間換気がいるのか」等々。 どう思います皆さん。

読書

何時もそばに本がないと落ち着きません。 読まなくても何時でも読めるという状況にないといやなのです。 だから、持ち歩くバッグの中、枕元、トイレに何冊かの文庫本が(単行本は高いのであまり買わない)転がっています。 学生時代は推理小説ばかり読んでいました。 就職してからは、なぜか推理小説に興味がなくなりノンフィクションやエッセイを好んで読みました。 ここ何年かは歴史が面白く司馬遼太郎を読んでいます。 「街道をゆく17島原・天草諸道」は私の生まれた天草の特異な歴史を実に詳細に描いてありました。 時の人、宮本武蔵の実像に迫った「真説宮本武蔵」も 吉川栄治の描いた武蔵とはまるで違う武蔵像を浮き彫りにしていて面白いですよ。 今、日本が産んだ不世出の天才空海の実像に迫った「空海の風景」を読んでいます。 次は長編「坂の上の雲」に挑戦しようと思っています。

取り留めのない話をだらだらと述べました。 少しは私のこと分って頂けたでしょうか。 他にも、旅行のことや音楽のことなど書きたかったのですが、次の機会(あれば)に回します。

(2004年11月掲載)