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究極の職住接近、在宅ワークの現状 - 村上 裕子 (YM設計室)(2006年09月13日 更新)

我が家は玄関を開けると入り口が2つある。右手の引き戸を開けると約4帖の小部屋がある。 ここがYM設計室の事務所である。ここにA0の製図版を転用した机、パソコン、プロッター、最近コピーまで買った。 多分最小の事務所ではないかと思う。この狭い空間で家事・子育てをしながら、構造計算・構造図作成の業務を行っている。

なぜ在宅にこだわったか。私が不器用な人間で、それなりの母親になってしまったからだ。 女性の社会進出を否定するわけではない。逆を行くようだが、 幼い時にはべったり側にいて甘えさせ、家は暖かい安心できるところ、親は自分たちの味方だと信じさせたいと思ったからだ。

犯罪の低年齢化や子供を狙った犯罪が多発する、はたまたいじめなど、子供にとっては受難の時代だ。 「ただいま」と帰ってきた時には家にいてやりたい。 一日色々経験して、子供なりに疲れたり、傷ついて帰って来た時に「何かあった?」と声をかけてあげたい。 不安な時にはすぐに抱いてやりたい。外に出て働き、家族にも心を配れる人はたくさんいる。 私にはそれが出来ないだけの話だ。

子供とゆっくり向き合えるだろうと思って始めた在宅での仕事だが、誤算があった。 以外に時間の自由がない。集中してはかどっている時に「ただいまぁ」と帰って来る子供たち。 あ~もう少しやりたかったと思うのはいつものこと。 母親の顔になって、学校の話を聞いたり宿題の国語の本読みに付き合ったり。 夕飯を食べさせて、台所を片づけて、さてもうひと頑張りしようかなと思っていると、「ただいま」ああ、夫が帰ってきた・・・。 いつも遅いのにこういう時はナゼか早いのよね、と思いつつご飯の支度。 主婦の自由になる時間は家族の都合次第だなぁと思う瞬間。 (夫の名誉(?)のために付け加えると、割と理解はある。 家事能力がも少しあればとおもうのはないものねだりかな?)

納期が迫っている時は、なかなか時間が取れないというのは結構ストレスになる。 だからといって、「今日のご飯は無し!」と言えないのが辛いところだ。 買い物に行く時間すらも惜しい。バーゲンに気軽に行けると思ったのは甘い、甘い。 目の毒だから新聞の折り込み広告さえ見ないようにしている。

時々「もうヤだ!!」と爆発しているが、その度に家族の理解が増すようで、状況は徐々に変わっている。 しかし、何だかんだと言っても月日は流れ、子育てのブランク後の再開から5年近い歳月が経った。 その間、たくさんの人達の理解に支えられてきた。あっちこっちでぶつかりながら、たくさんの人に支えられながら、 それなりに生きている、幸せな人生だろうと思っている。

皆様よろしくお願いします。

(2000年10月掲載)